一般社団法人の基礎知識

社員総会の決議方法

社員の議決権とは?

一般社団法人においては社員の持分という概念はありません。

そのため、社員は、各1個の議決権を平等に有するのが原則ですが、定款で別段の定めをすることができ、例えば活動に対する貢献度や会費等の負担に応じ、特定の社員に複数の議決権を認めることができます。

しかし、逆に社員総会において決議をする事項の全部につき社員が全く議決権を有しないとする定款の定めは、その社員の社員総会での決議への関与を全く否定することになって、一定の目的のために結合した人的組織である一般社団法人の本質に反するため、無効です。

社員の議決権行使の方法

議決権の行使方法として、社員自らが社員総会に出席して議決権を行使するほか、議決権の代理行使は認められます。

この場合、社員総会ごとに代理権を授与することが必要であり、代理権を証する書面を提出するか電磁的方法で提供しなければならないとされています。

代理権を証明する書面及び電磁的記録は社員総会の日から3か月間主たる事務所に備え置かれ、社員はこれを閲覧又は謄写できます。

社員総会の定足数、議決要件

普通決議

議事は、一般法人法又は定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、出席社員の議決権の過半数で決します。

一般法人法による別段の定めとしては、特別決議を要する場合と全員が書面又は電磁的記録により同意したときの決議省略の場合があります。

普通決議に関する定款での別段の定めは、決議要件を緩和することも加重することも可能です。例えば、定足数の規律を撤廃、緩和、決議要件を加重して特別多数決とすること等が考えられます。

しかし、「過半数」という決議要件を軽減することは、内容が相反する複数の決議が成立することを防ぐためできないものと解されています。

特別決議

特別決議要件は、総社員の半数以上(頭数要件)であって、総社員の議決権の3分の2(定款でこれを上回る割合を定めることは可能)以上の賛成(決議要件)が必要であるとされています。

頭数要件の定款による厳格化はできないが、決議要件についての厳格化は可能です。

特別決議が必要とされているものとしては、社員の除名、監事の解任、役員等の責任の一部免除、定款変更、事業の全部の譲渡、解散及び継続、合併契約の承認があります。

公益認定を受ける場合の注意

公益認定法において、行政庁が公益認定をする上での認定基準要件の一つとして、

  • 社員総会において行使できる議決権の数
  • 議決権を行使することができる事項
  • 議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが「社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること」「社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること」

のいずれにも該当するものであることと定められています。

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