一般社団法人の基礎知識

任意団体から一般社団法人を設立する際の注意事項

1.任意団体の文化と法律の対立

当事務所の経験上、従来から存在する任意団体や業界団体の文化・慣習は、法律のルールと相反する場合が多いです。従来からの任意団体運営のあり方が、 一般社団法人法においては違法・法令違反になることが珍しくありません。

任意団体を法人化した場合、歴史のある任意団体様ほど、従来の団体運営とは異なる面が多々出てきます。そのことについて事前に任意団体内部で意見を調整・集約する必要があります。

当事務所では、会員数10万人誇る日本有数の超大規模任意団体の一般社団法人化のお手伝いをさせて頂いたことがあります。

この団体様は、そもそも世界的な規模があり、その日本支部という位置づけです。

その団体としての国際規約や慣習があり、それが一般社団法人法と抵触する部分がかなりあったため、法人化に向けて任意団体内部の意見集約に時間がかかりました。

法人化自体には総論的には賛成していても、任意団体内部において各論で反対が生じる場面も出てきます。既存の任意団体の文化・慣習と法律のルールの調整を図りながら慎重に手続きを進めていく必要があります。

このような場合、当事務所では必要に応じて任意団体の会員・役員様への説明等も行っています。

また任意団体様に顧問の弁護士がいらっしゃる場合は、その弁護士の先生ともお打合せさせて頂いております。

2.税務・会計の問題

任意団体を一般社団法人化する場合、税務・会計上の問題が発生します。

「任意団体において所有していてた財産をどのように処分するのか?」が必ず問題になります。

  • 一般社団法人へ譲渡するのか、しないのか。
  • 一般社団法人へ譲渡しないなら、どのように処分するのか。
  • 一般社団法人へ譲渡するなら、有償なのか無償なのか。
  • 一般社団法人へ譲渡するタイミングはいつの時点か。

それらによって、課税される金額・税務上の結論が変わってきます。

任意団体を一般社団法人化する場合は必ず、公益法人会計専門の会計士・税理士を間に入れて、税務上の問題を解決しながら法人化を進めなければいけません。

ただし、一般社団法人の税務会計は特殊です。

通常の株式会社の税務会計とは異なるので、残念ながらほとんどの会計士・税理士の先生方は対応できないのが実情です。

当事務所では常に、公益法人の税務会計を専門にしている会計士・税理士と共同して業務を行っておりますので、安心してご依頼頂けます。

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3.公益認定を目指す場合

公益認定を受けることを前提に一般社団法人を設立する場合、単に一般社団法人が設立できれば良いという問題ではありません。

一般社団法人設立の段階から、公益認定法の規制を視野に入れて手続きを進める必要があります。

事業内容、機関設計、役員の人選など当初予定している内容では、そもそも公益認定を受けることが難しい場合もあります。

管轄行政庁への事前の相談や確認をしないで見切り発車で一般社団法人を設立してしまうと、場合によっては公益認定を受けにくい事業内容等で設立してしまうことになります。

あまりにも公益認定へのハードルが高いのであれば、「そもそも一般社団法人を設立する意味が無かった」と言える場合も出てきます。

当事務所では、平成20年12月の新制度発足以来、公益認定申請の代理人を専門にして7年以上の実務経験がありますので、公益認定を前提とした場合、クリアすべきハードルはどの程度なのかという視点から様々な助言・提案をさせて頂いております。

4.非営利型で設立する

一般社団法人には、税制上「非営利型」と「普通法人型」があります。

任意団体の法人化の場合には、基本的に「非営利型」で設立することになると考えてください。

一般社団法人が「非営利型」であれば、一般社団法人設立後に任意団体から財産の無償譲渡(寄付)を受ける場合に、一般社団法人が非課税になるからです。

仮に、「普通法人型」で一般社団法人を設立してしまうと、任意団体から財産の譲渡を受ける場合に、一般社団法人が課税されてしまいますので注意してください。

なお、「非営利型」の一般社団法人を設立する場合は理事が最低3名以上必要ですので、この点も注意してください。

国税庁の解釈によれば

「一般社団法人によっては理事が1人又は2人ということもあり得るが、この場合には、理事とその親族等である理事の合計数が理事の総数に占める割合は常に3分の1を超えることとなり、この要件に該当しないこととなる。換言すれば、一般社団法人にあっては、少なくとも3人以上の理事が置かれていなければ非営利型法人にはなり得ない」

とされています。

出典:平成20年7月2日付課法2-5ほか1課共同「法人税基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)の趣旨説明について

5.事業年度・定例行事開催時期の見直し

一般社団法人設立後は、原則として、事業年度終了後から2カ月以内に税務申告が必要になります。

税務申告のためには決算の承認を定時社員総会で得る必要がありますので、事業年度終了後から2カ月以内に、定時社員総会を開催する必要があります。

例えば、「4月1日~翌年3月末」が事業年度の一般社団法人の場合は、原則として5月には定時社員総会を開催しなければなりません。

ここで重要になってくるのが、「社員(会員)が集まれる時期」に定時総会が開催されるような事業年度の設定にすることです。

例えば、学術系団体でよく見られるケースですが、会員が集まる学会(研究発表会・学術大会)を開催するタイミングで、同時に、任意団体として総会を行っているようなケースが多いです。

そうすると、一般社団法人へ移行するに際しては、以下の2つの選択肢があります。

  • 学会の時期を変えないで、学会の時期に定時社員総会を開催するような事業年度にする
  • 事業年度を先に設定してしまって、学会の開催時期を任意団体とは変える。
  • このように、これまで任意団体として通年行ってきた行事との兼ね合いで、事業年度の設定を見直したり、逆に、行事の実施時期を見直したりする必要があります。

    6.理事会は代理出席不可能

    理事会の決議は、原則として議決に加わることができる理事の過半数が出席し、その過半数を持って行います。

    この理事会には、理事本人が出席する必要があります。

    理事会においては、委任状による代理出席は認められていませんので注意してください。

    任意団体の理事をそのまま一般社団法人の理事にスライドさせた場合に、理事会に出席困難な名誉職的な理事が多いと、実際に理事会に参加できない人数が増えて、理事会が成立しない危険性があります。

    一般社団法人に移行する場合には、現実的に理事会に出席可能な人物を理事に選任する必要があります。理事構成の見直しが必要です。

    7.団体独自の名称・役職名を使用する場合の注意

    法律上の名称ではないが、従来、団体の定款(規約等)で使用してきた名称(総会、理事長、会長、評議員、評議員会、など)がある場合には注意が必要です。

    一般社団法人においては、「社員総会」「代表理事」等の名称・役割が法律上明確に決まっています。

    そのため、団体独自の名称・役職等を定款で使用したい場合は、一般社団・財団法人法における「法律上の名称」と、定款で使用する団体独自の名称・役職等がどのような関係にあるのかを、明確にする必要があります。

    例えば、定款で「総会」という名称を使用する場合ですが、定款で使っている「総会」という名称の会議が、一般社団・財団法人法における「社員総会」該当するものか否かを明確にする必要があります。

    また、定款で「理事長」(会長など)という名称を使用した場合ですが、定款で使って いる「理事長」という名称の人が、一般社団・財団法人法における「代表理事」に該当するのか否かを明確にする必要があります。

    8.一般社団法人には「評議員」は存在しない

    「評議員」「評議員会」という名称・会議体は、一般財団法人に関するものとして法定されています。

    一般社団法人において「評議員」・「評議員会」という役職・機関は、法律上存在しません。

    つまり、これまで任意団体で「評議員」等の役職を設けていた場合でも、一般社団法人においては、「評議員」・「評議員会」という存在は法律上あり得ないことになります。

    仮に、一般社団法人が「評議員」・「評議員会」という名称を使用し続けたい場合は、法律上の名称・機関との関係性が誤解されないように、明確にしておく必要があります。

    9.法定の機関(社員総会・理事会)の権限を侵害しない

    任意団体の場合は、会議体の名称や、会議体が持つ役割・権限も曖昧で、団体ごとにバラバラでした。 

    しかし、一般社団法人においては、「社員総会」「理事会」「理事」「代表理事」等の名称・役割が法律上明確に決まっています。

    例えば、法律上、「理事の選任」は、「社員総会」の権限であると法定されています。

    つまり、社員総会以外の機関が理事を選任したり、選任について最終的な決定権を持ったりすることは社員総会の権限を奪うことになり、違法になります。

    任意団体に見られる事例ですが、以下のような運営は、一般社団法人においては認められません。

  • 理事の選任を、理事長(=代表理事)が行う
  • 総会(=社員総会)において理事を選任する場合には、●●●●(社員総会以外の独自の機関。評議員会など)の同意を得なければならない
  • 任意団体の法人化・一般社団法人への移行Q&A

    Q 一般社団法人を設立すると、任意団体は解散しなければならないのですか?

    A 一般社団法人と任意団体は併存できます。

    現在運営されている任意団体と、一般社団法人は、法的には別人格(別な組織)だからです。

    任意団体からの「移行」という言葉が誤解を生じさせていますが、任意団体と、一般社団法人は、法的には別人格(別な組織)です。

    「移行」という手続きの意味は、法律上は別な新しい組織を立ち上げて、新しい組織でこれまでと同種の事業を始めるということです。

    したがって、一般社団法人設立後も、任意団体を存続させる何らかの必要性があれば、任意団体を解散する必要はありません。

    任意団体が解散するかどうかは、あくまで任意団体としての意思決定に基づくものです。

    一般社団法人が設立されたからといって、任意団体がすぐに解散しなければいけないというわけではありません。

    Q.法人化を機会に、会費や入会金の額等は変えてもいいのでしょうか?また、会員の種別を変えてもいいのでしょうか?

    A 変えてもかまいません。

    任意団体と一般社団法人は、法律上は、別人格(別の存在)です。

    一般社団法人設立後の事業計画を見据えて会費や入会金の金額は自由に変えることができます。

    同様に、会員の種別を変えることもできます。例えば、新しい会員種別を増やしたり、既存の会員種別を統合して減らしたりすることもできます。

    会員数が多い団体であれば、法人化を機に、代議員制の導入もあり得るでしょう。

    ただし、どのような変更にせよ、任意団体側の総会で、事前に定款案等を承認してもらうプロセスが必要です。

    既存の任意団体の会員(構成員)が納得できるように、変更の合理的な理由が説明できるのであれば実務上は問題ありません。

    Q.法人化後の、理事の任期はどうなりますか?

    理事の任期は、選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会が終結する時までです。

    この理事の任期は、短縮することができますが、伸長することはできません。

    ただし、任期満了後に再任することについて法律上制限はありません。法律上は何度でも再任できます。

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